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捨てられるパイナップルの芯や皮から食品包装の新素材 開発 葉は服に 農家の収入源にも

13 May 2022
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スペインのアリカンテ大学(University of Alicante)分析化学・栄養・食品科学 (Department of Analytical Chemistry, Nutrition and Food Sciences)の研究 者チームは、パイナップルの芯や皮など、通常、捨てられる部分を活用し、抗 酸化作用のある新素材を開発した。この素材は、容器包装として使うことがで き、食品の酸化を防いで、保存する食品の保存期間を延長することができ る。 このプロジェクトは「生鮮食品の保存期間を延ばし、食品廃棄物を削減するた めの天然バイオアロマの開発」と題し、2021年末から始まった。研究者グルー プは、最終的には「食べられるフィルム」「天然由来の持続可能なプラスチッ ク材料」の実現を目指している。 パイナップルの芯や皮は総重量の50%以上 国連FAOによれば、世界の食品ロス・食品廃棄物は年間13億トンと推定され ている(日本の場合「食品ロス」は可食部のみを指すが、国連FAOの場合は 不可食部も含めている)。

食品ロスや食品廃棄物は、世界の温室効果ガス排出量のうちの8%を占めて おり、淡水消費量の20%、世界の農地使用量の30%を占める。そこで、食品 ロスや食品廃棄物を廃棄せずに資源として活用することで、環境負荷や経済 的な損失を防ぐことができる。 パイナップルの芯や皮は重量が重く、1個あたりの総重量の50%を超えること もある。通常、それらは捨てられるだけで使われていない。 パイナップルを含む植物由来の残さ(殻、茎、種子、ぬかなど)には、天然香 料や抗菌作用、抗酸化作用を持つ物質など、食品の保存のために有用な成 分が含まれているのだそうだ。たとえば、ココナッツやキャッサバなども、プラ スチックより持続可能な包装材の可能性を秘めている。

赤身肉など生鮮食品の保存性を検証中 研究グループのメンバーは、スペイン・アリカンテ大学分析化学・栄養・食品 科学科の講師、アナ・ベルトラン(Ana Beltrán)氏と、講師のアランツァズ・バ ルデス(Arantzazu Valdés)、研究者のマリア・ソレダッド・プラット(María Soledad Prats)氏、レイチェル・サンチェス(Raquel Sánchez)氏、アドリアナ・ フワン(Adriana Juan)。また、国際センターのシグマ・クレルモン(フランス)と パナマ工科大学の研究者も参加している。 現在、彼らは、赤身肉など生鮮食品の腐敗を抑制するために、この新しい素 材が与える影響を調査・検証している。 パイナップルから作られたこの素材は、抗酸化作用があるので、脂肪分の多 い食品の酸化による劣化を防ぐのに有効だそうだ。食品やアクティブ包装に 組み込むのに役立つ、フルーティーで甘い香りの供給源となると報告してい る。

パイナップルは代替レザーにも パイナップルは、以前から材料科学者の注目の的だった。ファッション分野で は、パイナップルの葉の繊維を利用して、動物を使わない代替レザー「ピニャ テックス」が開発されている。 筆者が2年近く滞在していたフィリピンでも、パイナップルの繊維を利用して 「バロン・タガログ」という正装の服が作られていた。薄いクリーム色で、透け るような素材の服である。

2022年5月17日・18日、台湾の繊維産業連合会である紡拓会(台北市)は、東 京の渋谷区恵比寿の「EBiS303」で生地展示会「パンテキスタイルフェア東京 2022」を開催予定で、ここでもパイナップルやバナナを使った繊維の生地が 展示されるそうだ。 パイナップルの葉から繊維「Nexevo」 インドネシアの果物の会社、Great Glant Pinapple(GGP)の社長を9年間務め たハロルド・コー(Harold Koh)氏は、パイナップルの葉から繊維を抽出し、持 続可能な繊維のスタートアップ「Nexevo」(ネクセボ)を始めた。パイナップル から作られたこの繊維は混紡糸につむがれて、タオルや靴、ジーンズ、デニ ムを作るのに使われる。 パイナップルの葉は、通常、農家によって、燃やしたり、埋め立て地に捨てた りされている。この、捨てられる葉を農家から購入することで、農家にとっての 収入源になり、さらに二酸化炭素の排出量を削減することにもつながる、と、 コー氏は語る。

コー氏は、インドネシアだけでなく、タイからもパイナップルの葉を調達してい る。タイのパイナップル缶詰メーカー、サイアム・アグロ・フード社と合弁会社を 設立し、パイナップル農家から葉を調達するサプライチェーンを構築した。 Nextevoは、ココナッツから作る土壌材「ココピート」や、余ったココナッツの皮 をコワールファイバー (ロープや装飾品に使われるひものような素材) に変 え、マットレスの詰め物として商業的に生産する方法も模索している。 リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへ これまでの「作る→売る→消費する→捨てる」という直線型の「リニアエコノミ ー」(下図、左)から、捨てていたものも捨てずに循環させる円形の「サーキュ ラーエコノミー」(下図、右)へと転換が進んでいる。

オランダ政府公式サイトより これまで不要なものとして捨てられていたパイナップルの茎や皮、葉を活用し た取り組み。他にも、「ごみ」ではなく「有用な資源」として活用できるものがた くさんあるはずだ。

 

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捨てられるパイナップルの芯や皮から食品包装の新素材 開発 葉は服に 農家の収入源にも

21 Jun 2022
Fajar Sumsel
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スペインのアリカンテ大学(University of Alicante)分析化学・栄養・食品科学 (Department of Analytical Chemistry, Nutrition and Food Sciences)の研究 者チームは、パイナップルの芯や皮など、通常、捨てられる部分を活用し、抗 酸化作用のある新素材を開発した。この素材は、容器包装として使うことがで き、食品の酸化を防いで、保存する食品の保存期間を延長することができ る。 このプロジェクトは「生鮮食品の保存期間を延ばし、食品廃棄物を削減するた めの天然バイオアロマの開発」と題し、2021年末から始まった。研究者グルー プは、最終的には「食べられるフィルム」「天然由来の持続可能なプラスチッ ク材料」の実現を目指している。 パイナップルの芯や皮は総重量の50%以上 国連FAOによれば、世界の食品ロス・食品廃棄物は年間13億トンと推定され ている(日本の場合「食品ロス」は可食部のみを指すが、国連FAOの場合は 不可食部も含めている)。

食品ロスや食品廃棄物は、世界の温室効果ガス排出量のうちの8%を占めて おり、淡水消費量の20%、世界の農地使用量の30%を占める。そこで、食品 ロスや食品廃棄物を廃棄せずに資源として活用することで、環境負荷や経済 的な損失を防ぐことができる。 パイナップルの芯や皮は重量が重く、1個あたりの総重量の50%を超えること もある。通常、それらは捨てられるだけで使われていない。 パイナップルを含む植物由来の残さ(殻、茎、種子、ぬかなど)には、天然香 料や抗菌作用、抗酸化作用を持つ物質など、食品の保存のために有用な成 分が含まれているのだそうだ。たとえば、ココナッツやキャッサバなども、プラ スチックより持続可能な包装材の可能性を秘めている。

赤身肉など生鮮食品の保存性を検証中 研究グループのメンバーは、スペイン・アリカンテ大学分析化学・栄養・食品 科学科の講師、アナ・ベルトラン(Ana Beltrán)氏と、講師のアランツァズ・バ ルデス(Arantzazu Valdés)、研究者のマリア・ソレダッド・プラット(María Soledad Prats)氏、レイチェル・サンチェス(Raquel Sánchez)氏、アドリアナ・ フワン(Adriana Juan)。また、国際センターのシグマ・クレルモン(フランス)と パナマ工科大学の研究者も参加している。 現在、彼らは、赤身肉など生鮮食品の腐敗を抑制するために、この新しい素 材が与える影響を調査・検証している。 パイナップルから作られたこの素材は、抗酸化作用があるので、脂肪分の多 い食品の酸化による劣化を防ぐのに有効だそうだ。食品やアクティブ包装に 組み込むのに役立つ、フルーティーで甘い香りの供給源となると報告してい る。

パイナップルは代替レザーにも パイナップルは、以前から材料科学者の注目の的だった。ファッション分野で は、パイナップルの葉の繊維を利用して、動物を使わない代替レザー「ピニャ テックス」が開発されている。 筆者が2年近く滞在していたフィリピンでも、パイナップルの繊維を利用して 「バロン・タガログ」という正装の服が作られていた。薄いクリーム色で、透け るような素材の服である。

2022年5月17日・18日、台湾の繊維産業連合会である紡拓会(台北市)は、東 京の渋谷区恵比寿の「EBiS303」で生地展示会「パンテキスタイルフェア東京 2022」を開催予定で、ここでもパイナップルやバナナを使った繊維の生地が 展示されるそうだ。 パイナップルの葉から繊維「Nexevo」 インドネシアの果物の会社、Great Glant Pinapple(GGP)の社長を9年間務め たハロルド・コー(Harold Koh)氏は、パイナップルの葉から繊維を抽出し、持 続可能な繊維のスタートアップ「Nexevo」(ネクセボ)を始めた。パイナップル から作られたこの繊維は混紡糸につむがれて、タオルや靴、ジーンズ、デニ ムを作るのに使われる。 パイナップルの葉は、通常、農家によって、燃やしたり、埋め立て地に捨てた りされている。この、捨てられる葉を農家から購入することで、農家にとっての 収入源になり、さらに二酸化炭素の排出量を削減することにもつながる、と、 コー氏は語る。

コー氏は、インドネシアだけでなく、タイからもパイナップルの葉を調達してい る。タイのパイナップル缶詰メーカー、サイアム・アグロ・フード社と合弁会社を 設立し、パイナップル農家から葉を調達するサプライチェーンを構築した。 Nextevoは、ココナッツから作る土壌材「ココピート」や、余ったココナッツの皮 をコワールファイバー (ロープや装飾品に使われるひものような素材) に変 え、マットレスの詰め物として商業的に生産する方法も模索している。 リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへ これまでの「作る→売る→消費する→捨てる」という直線型の「リニアエコノミ ー」(下図、左)から、捨てていたものも捨てずに循環させる円形の「サーキュ ラーエコノミー」(下図、右)へと転換が進んでいる。

オランダ政府公式サイトより これまで不要なものとして捨てられていたパイナップルの茎や皮、葉を活用し た取り組み。他にも、「ごみ」ではなく「有用な資源」として活用できるものがた くさんあるはずだ。

 

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